(この記事はあくまでもコンサートの個人的感想です。)
1997年生まれの牛牛(ニュウニュウ)のコンサートに行きました(本名は張勝量だそうですから,牛牛というのは芸名なのだと思います。)。
演奏曲目は次のとおり。
ショパン ノクターン7,8番
ベートーベン ソナタ21番「ワルトシュタイン」
フェリックス・メンデルスゾーン 無言歌集より1番「甘い思い出」,30番「春の歌」,34番「紡ぎ歌」
ムソルグスキー 展覧会の絵
アンコール
ショパン ノクターン20番「遺作」,華麗なる大円舞曲
こちらの地域ではピアニストの知名度がまだそれほどないのか客席はガラガラでした(ピアノをやっている方なら神童として以前から有名なので知っていると思います。)。それだけに聴衆の大半はピアノ関係者かと思いきや,舞台に向かって右側の客席も結構埋まっていたことから,ピアノをあまり知らない方もかなり聴きに来ていたようです。
さて,肝心の演奏について感想を書いておこうと思います。
指は非常によく回っていましたが,全般的にうーん残念だなという印象でした。音が丸くないこと,妙なこぶしが付くこと,速度がやたら早く雑な演奏に聴こえること,テンポが不安定なこと,強弱も何かいい加減に聴こえること,強音も透徹した鋼鉄のような感じではなくただ単に大きく濁っているように感じられたこと,細部が潰れているように聴こえること,がそのような印象に至った原因です。聴けば聴くほど雑に速弾きしているだけのように聴こえ,何か疲れてくる感じでした。
例えて言うなら次のような感じでしょうか。上手な演奏がちょうどつるつるにやすりで磨かれ手触りが良くなった木材のようなら,今回聴いた演奏はささくれが目立って,手では触れないような木材のような感じです。
特にワルトシュタインが酷かったように思いました。ただまだ若いピアニストですし,今年の秋からジュリアードで勉強するようですから,5年もすれば大きく変わった演奏を聴かせてくれるようになっているかもしれません。神童=早熟というアピールは若いうちだけ通用するものでしょうから,ずっと続けていくのであれば,ピアニストとしての完成度を上げる必要があるのだと思います。そういう意味では,彼はまだまだこれからかなと感じました。